静岡駅前トラベルクリニック 静岡県静岡市葵区栄町 内科・小児科

病気について

アデノウイルス結膜炎について

水痘(みずぼうそう)

中耳炎

熱性痙攣(ねっせいけいれん)について

発熱について

アデノウイルス結膜炎について

アデノウイルスによる結膜炎です。
「はやり目」「流行性角結膜炎」または発熱を伴うと「咽頭結膜熱」と診断されます。
家族内感染が多発しますので注意が必要です。
このウイルスによる結膜炎では時に結膜炎の症状が強くなり、角膜障害を起こして痛みが起こることがあります。二次感染にも注意してください。

3大症状

  • 結膜炎:目が赤くなり、まぶたが腫れて涙や目やにが多く出る。まぶしく、目がごろごろすることあり。
  • 咽頭炎:咽頭発赤、咽頭痛
  • 発熱:37℃後半~39℃台

臨床経過

1)咽頭炎 → 2)結膜炎 → 3)発熱 → 4)下痢(約10%)
この順序は流動的で、結膜炎が主体のときは「流行性角結膜炎」となり、咽頭炎が主体のときは「咽頭結膜熱(プール熱)」となります。なお、結膜炎は3週間程度で自然治癒します。

治療法

ウイルスに対する直接的な治療法はなく、対症的な治療となります。
抗生剤点眼、消炎剤点眼、眼処置(必要に応じ眼科にて)、内服薬など

後遺症(合併する可能性のあるもの)

点状角膜混濁→視力障害
偽膜性結膜炎→眼瞼結膜の瘢痕
※発症後7日以上たって、まぶしがったり見えにくさを訴えたり、眼瞼結膜(あかんべーして見えるところ)が白くにごる場合は眼科を受診すること。

予防・感染対策

  • 接触(目やになど)伝染が主であるので、目やにのある間は感染します。
  • 手指などは流水、石鹸でよく洗う。できれば消毒用アルコールなどを用いる。
  • 目やにはティッシュペーパーで拭き取ったら、ビニール袋に入れてゴミ箱へ。
  • 目薬、タオル、ハンカチは別にして他人のものは使わないようにして下さい。
  • 入浴は最後にして残り湯は洗濯などに使用せずにすぐに流すこと。
  • 学校伝染病による出席停止の適応なので医師の許可証がなければ登園、登校はできません。
  • 目やにが完全になくなるまでは感染力が強い病気です。約1週間程度はかかります。
  • 患者の手指が接触する扉、いす、机、食器など自宅でも消毒することが望ましい。

水痘(みずぼうそう)

3~6歳頃にかかりやすいウイルスの感染症で冬から春にかけ流行しやすい。
感染力は強くて家族でかかっていない人がいると約90%の確率でうつる。
症状はとにかく皮膚に発疹が出る事である。
発疹は最初虫刺されの様な小さなものであるが痒みを伴って次第にその数を増していき、頭皮から足の先まで所かまわず出る。
小さな発疹は半日~1日もすると下の画像のような小水疱となる。


水痘の発疹(水疱状)


1つの水疱は2~3日の内に中央がつぶれてかさぶたのようになる。
その間にも新しい水疱が作られるので水疱とかさぶた状の発疹が混在するようになる。


発疹がつぶれた状態(白いのは塗り薬)


初期には軽い発熱をみることが多いが熱は出ない場合もある。
1週間から10日くらいで全ての発疹がかさぶたとなって治る。

 

潜伏期は?

潜伏期(感染してから発症するまでの時期)は14~21日(平均15日)である。

合併症は?

皮膚のかきこわしによる皮膚の二次感染

水痘脳炎

1,000~5,000人に1人くらいであるが重症になる。高熱が続いたり意味不明な言葉を発したりうとうとしたり反応が悪くなったりしたら即病院へ。
眼球充血:出血傾向が見られる事がある。通常は一過性であり、治る。


眼球充血

予防は?

予防接種がある。(任意接種)ワクチンを予め打っていれば90%程度はうつらない。→水痘ワクチン
もし、水痘の人に接触して24時間以内であれば緊急予防接種により発症を回避できる可能性があるが、兄弟など一緒に暮らしているような場合にはまず間に合わない。(発症前からウイルスが出ているため)
アシクロビル(商品名ゾビラックスなど)を発症予定日の1週間前から服用して半数程度発症を回避できるという報告もあるが、基本的にはどうしてもうつしたくない、発症させたくないような場合に限る。(免疫不全や抵抗力が弱っている場合など)

治療、注意点は?

対症療法が中心であるが、近年アシクロビル(商品名ゾビラックスなど)という抗ウイルス薬が水痘に対して保険適応となっている。(なるべく初期に用いる)ただし、使用するかどうかは診察した医師の判断となる。
爪を短く切って肌着は毎日着替えて皮膚の清潔を保つ。
一般的には「カチリ」とよばれる修正液のような粘着性の液体塗り薬が処方される事が多い。
全ての発疹が「かさぶた」になり乾燥するのに7日~10日ほどかかり、その間は感染するので自宅で療養することになる。
入浴は一般的には構わない。ただし初期はシャワー程度が望ましい。
登校、登園の許可は再診して医師の判断に任せる。
一般に全ての発疹が痂皮化(乾燥してカサブタ状またはそれが取れた状態)になること。
(水痘は学校伝染病第二種に属する感染症であり、必ず登園、登校許可証が必要になります)

中耳炎

中耳炎は子どもの感染症の中では割合よく見られる疾患です。
主に急性中耳炎と滲出性中耳炎の2つに分類されます。
急性中耳炎は中耳の急性感染症で高熱と耳の痛み、みみだれなどの症状があります。
しかし、乳児など症状の訴えがはっきりせず発熱と機嫌が悪いといった症状のみで普通のかぜとして扱われることも多いのです。
年長児になると耳が痛いなどはっきりとした訴えをして診断がつきやすい。
滲出性中耳炎は中耳の中に炎症を起こしていない液がたまって、耳が聞こえにくくなったり音を伝える鼓膜の動きが悪くなった状態です。

急性中耳炎の原因

急性中耳炎は耳の奥と鼻の奥をつなぐ細い管、「耳管」経由で感染します。この管は山やトンネルで耳がツ~ンとなった時、あくびしたりすると治る空気抜きの穴です。耳管は耳の中耳(鼓膜の向こうがわ)と鼻の奥を通じさせ 、中耳の空気圧を一定にして鼓膜が振動しやすい状態にする働きがあります。
急性中耳炎はこの耳管経由で鼻やのどの主に急性炎症が中耳に及ぶ状態です。つまり炎症を起こした菌が中耳の中に溜まる状態です。鼓膜に穴が空いているか慢性中耳炎でないかぎり耳に水が入って中耳炎がおこるわけではありません。耳管経由の鼻やのどの炎症の普及と考えてください。

急性中耳炎の症状

炎症の症状として「発熱」があります。通常38.5℃以上の高熱を伴うことが多い。
中耳内で炎症の結果中耳に膿がたまり,たまりすぎると,鼓膜が自然に破れ『耳だれ』となりますが鼓膜の破れる前は中の膿が鼓膜を圧迫して「非常に痛い」耳痛が起こります。

急性中耳炎の治療

基本的に中耳炎は「耳鼻科」で治療します。特に「鼓膜切開」など耳鼻科でしかできない処置もあります。
耳痛が強く、鼓膜所見で内部から膿が圧迫している状態では「鼓膜切開」して排膿します。
排膿がうまくできないと後で慢性炎症となり「滲出性中耳炎」に移行することもあります。
薬物療法としては中耳炎の炎症の原因が細菌感染症であることもあるために多くの場合抗生物質の内服が必要となります。薬は症状がおさまっていても医師の指示通り続けて服用してください。

滲出性中耳炎とは

中耳の中に「炎症をおこしていない液」が溜まって耳が聞こえにくい状態になったり、音を伝える鼓膜の動きが悪くなった状態です。
耳と鼻とをつなぐ耳管の働きが悪くなり(耳管狭窄)耳の中の圧力が低下し、内耳粘膜から分泌物が出てなるという場合や以前にかかった急性中耳炎の膿が完全に取り除かれずに滲出性中耳炎に移行するというパターンもあります。
治療は耳鼻科で行います。耳管の通りをよくする処置(例えば耳管の鼻奥の開口部周辺の炎症を抑えたり耳管通気をする)
アレルギー性鼻炎など鼻の病気も治療に関係してきます。鼻の治療も同時に必要となります。
いずれにしても治療は長期にわたって必要になります。子どもは言葉を覚える大事な時期なので軽度の難聴もハンデになります。耳鼻科医師の指示に従って治療を続けましょう。

熱性痙攣(ねっせいけいれん)について

熱性痙攣とは

熱を伴う小児の全身性の痙攣で生後6ヶ月~4才ごろに見られます。
一般に言う「ひきつけ」の多くはこの熱性痙攣です。
いわゆる「てんかん」とは全く違うものです。

頻度は日本人の100人に7人程度で経験されます。(割と多いですね)

初めて子どもが痙攣する場面に遭遇すると誰でも気が動転してしまいます。
見慣れた我々小児科医でも時に慌ててしまうくらいです。
しかし、熱性痙攣についての正しい知識があればある程度冷静に対処できるようになります。

この痙攣は一般に「良性のもの」であり、命にかかわることはありません。そして約半数は1回だけのエピソードで以後おこさなくなります。しかし、残りの半数では小学校に上がる頃までの期間、高熱を伴う風邪の時にまた同じような痙攣を起こす可能性があります。

熱性痙攣をおこしやすい「家系」があります。両親のいずれかの家系に子どもの頃同様な痙攣の既往がある場合はお子さんがこの良性の熱性痙攣である可能性が高いと言えます。

痙攣時の対応

まず静かに寝かせてください。ベルトなどあれば緩めます。たたいたり大きな声をかけたり刺激しないでください。
舌を噛むのが心配で何か口に入れたくなりますが嘔吐を誘発して窒息の恐れがありますのでけっして口はさわらないで下さい。(実際に舌を噛むことはまずありません)
痙攣中または痙攣後に吐き気をもよおす事があります。その時はすぐに体を左右どちらかに向けて吐物がのどにつまらないようにして下さい。
痙攣は5分以内におさまるものがほとんどです。しかし、この数分が10分にも20分にも感じるものです。正確な痙攣の情報は後で医師に診察を受けるときに重要です。痙攣が始まったらすぐに時計を見るようにしましょう。(もし、痙攣が正確に7分以上続いているときは救急車を呼ぶ)
観察のポイントは目の動き、手足の状態、顔色、痙攣後の意識状態など。一般に痙攣は左右対称におこり、腕を曲げて足を突っ張り、目は上を向くことが多いです。
痙攣の様子はなるべく詳しく覚えておいてください。痙攣が一段落したら体温を測ってみましょう。(おそらく39℃~の熱があるでしょう)
小児科医の診察は5分以内の痙攣であれば急いで受ける必要はありません。(夜間なら翌日などでかまいません)ただし痙攣が片方だけ(右側のみなど)や、痙攣後の熱が平熱だったり、24時間以内に2回の痙攣があった場合などは医師の診察が必要です。
痙攣後元気になっていてもすぐに食事をとるのはやめておきましょう。まず少量の水分から。

痙攣予防について

熱性痙攣の予防薬として「ダイアップ座薬」等があります。
一般に初めての痙攣発作ではこの薬を次回発作の予防薬として処方することは少ないと思われます。
以前に複数回熱性痙攣の既往がある場合、必要に応じて小児科医が判断してこの座薬を処方します。
使い方は風邪の初期(微熱の段階)で1回使用してその後6~8時間後にまだ熱がある場合にもう1回使うのが一般的です。詳しくは外来でお聞きください。

発熱について

子どもが熱を出すとだれでも非常に心配になるものです。
しかし、熱についての正しい知識を身につけて適切な対応をいたしましょう。

まず最初に「発熱」とはいったい何度以上の熱を言うのでしょうか?
一般に子どもの体温(平熱)は大人に比べてやや高めになっています。
もちろん個人差はありますが、午後などに計ると37℃を少し越えている事はよくあります。
平熱が35℃台の人には当てはまりませんが、一応、37.5℃を越える場合に発熱と呼ぶのが子どもの場合には妥当でしょう。
よく「体温記録表(熱型表)」などのグラフに37.0℃のところに赤い線が引いてありますが、これにはあまりこだわらないで下さい。

実際によくあるパターンは親が気づくとすでに顔が赤くなっていて体を触ると熱く、体温計で計ると38℃台後半であった・・・こんな風に子どもは短時間の内に高熱を出します。ここで一つなぜ人は熱を出すのか?について考えてみます。

発熱したお子さんを連れてきたお母さん、お父さんたちに聞きますと体の中でばい菌などが悪さをして(暴れまわって)熱を出している・・・といった答えを良く聞きます。
ある意味では正しいのですが、実際は人間の体が体内に侵入したばい菌(細菌)やウイルスに反応してそれらをやっつけるためにわざと熱を出して戦っているのです。
つまり、ばい菌やウイルスは高い熱に弱いという性質を良く知っている人間は熱を出せという命令を発して自分の体を熱くして(発熱させて)ばい菌やウイルスを殺しているのです。
つまり高熱は子どもたちの強い味方だったのです。
発熱しているという事実は「体の中にばい菌やウイルスがいる」というサインではありますが、その事自体は決して悪い事ではなく、むしろそれに対して体が一生懸命戦っているという喜ばしい結果でもあります。また子どもは体力があり、それだけ高い熱を出すことができるのです。年を取るとなかなか高い熱を出すこともできなくなるのです。(特に老人)

同じく発熱で夜間救急外来を受診した子どものお母さんたちに「熱が出て一番心配な事」を聞きますと何よりも「熱で頭がおかしくなるのでは」という答えが返ってきます。
この事は昔からの言い伝えにも起因しているところがあり、特におじいちゃん、おばあちゃんたちはかたくそう信じています。
結論から言えば熱だけで頭がおかしくなるような事はありません。

上記の様に発熱自体、人がわざとおこしている反応であるので自分自身を傷つけるような高熱は出しません。(高くても41℃を越える事はまずない)
41℃というとものすごい熱ですが、お風呂の温度としてはどうでしょうか?
子どもが入るには少し高めですがその温度でやけどしたりはしないでしょう。
つまり、正常な人間の体には影響なく「ばい菌」たちには大きなダメージを与えるという温度に体温をコントロールするので自分の体にはなんらダメージはないのです。

昔、現在のような良い薬や予防医学が発達していなかった時代、いわゆる「疫病」が発生すると短期間に広まりました。その中には「髄膜炎や脳炎」もあったでしょう。
特に子どもにかかりやすいものだと感染した子どもたちは次々と命を落としたり、運良く死を免れても後遺症として知能障害が残った事が考えられます。
その症状を見て「頭がおかしくなった」「ばかになった」と言われ、後にその原因であった「髄膜炎や脳炎にかかって」という言葉がなくなり単に「熱が出て頭がおかしくなった」とか「熱はこわい」が言い伝えられたのです。(昔の人は「脳膜炎」とよく言います)

確かに「髄膜炎や脳炎」の症状に高熱がありますがその当時も人間は一生懸命熱を出してなんとかばい菌やウイルスをやっつけようと努力していたのです。
いろんな薬が開発された現在でも「髄膜炎や脳炎」は怖い病気ですが、熱を出した子どもがみんな「髄膜炎や脳炎」ということはありません。
そこのところの正確な鑑別は医師に任せるとして一般的には「髄膜炎や脳炎」では高熱に加えて何らかの症状(激しく吐いたり頭痛を訴えたりけいれんや意識障害等)を伴う事が多いのです。
「肺炎」の場合も熱だけということはまずなく、激しい咳、呼吸困難などを伴うのが一般的です。

つまり、「発熱のみ」の場合には落ち着いて他に付随する症状がないかよく観察する事が肝心です。

次に発熱時の自宅での対処の仕方ですが、上記の様に熱自体悪者ではないので無理に下げようと思わない事です。(なかなかそこの所は理解してもらえませんが)
坐薬や頓服を使えばある程度熱は下がります。
しかし、体の命令に反して熱を下げるのですからその事はどちらかといえば「ばい菌やウイルス達」の味方をすることになります。
本来熱が出て死ぬ事になっていた「ばい菌やウイルス達」が熱が下がって息を吹き返します。
つまりかぜが長引くという事です。
しかし、実際目の前で熱にうなされている子どもを見れば誰でも何とかして熱を下げてやりたいと思うのは当然の気持ちでしょう。
それでも解熱剤(げねつざい)は絶対に使うなという先生も多いのですが、私は解熱剤のメリットの方にも注目して処方しています。
つまり、深夜などで高熱にうなされて寝つけずに体力を消耗するような場合には熱を少しだけ下げてやれば楽になって眠れるのであればタイミングよく座薬などを使うのも良いでしょう。
一番いけないのは熱があるからと本人の機嫌も良いのに漫然と解熱約を使ったりすることです。
発熱時の家族のサポートとして重要なことは脱水にならないように十分な水分補給をする事と十分な睡眠をとらせて体力回復の手助けをすることです。

つまりは本人が病気と十分に戦えるような環境を作る事です。長期戦になるようなら栄養の補給も重要でしょう。
暑がっている時は薄着にして部屋の温度にも注意しましょう。汗をかいたら体を拭いたり新しいパジャマに着替えさせたりして気持ち良く寝かせてあげましょう。
逆に熱が出る時は寒がってガタガタ震えていたり手足が冷たくなる事があります。
そのような時は本人の気持ちが良い程度に布団を多くかけるなどして寒くない様にしてあげましょう。
つまり、本人が気持ちよくなるようにしてあげるのです。
ただし、熱が上がりきると今度は汗をたくさんかいて暑がりますのでいつまでも布団をかけ過ぎていると熱がこもって必要以上に熱が高くなりますのでこまめに熱を測って調節いたしましょう。
38.5℃以下の発熱では解熱剤は使いません。クーリングといって体を気持ち良い程度に冷やしてあげましょう。
ただし、あまり平熱に近づけることばかり考えないようにしてください。
熱はある程度あったほうが病気が早く治ることを思い出してください。
ちょっと変な言い方ですが38℃代の熱が持続できるようにコントロールすると本人はつらくなく一方でばい菌やウイルスにはいやな状態となり病気が早く治るという結果につながります。
ばい菌やウイルスが退散して病気が治れば熱は自然に下がってきます。
私は熱の風邪によく漢方薬(麻黄湯など)を処方します。この薬は直接的に熱を下げる薬ではなく逆に一時的に熱が上がったりします。しかし、結果的にその後子供たちは解熱してすっきり元気になります。
解熱剤を使い続けた場合にはこのように短期間ですっきりと治らないことが多いのです。

最近はやりの「ひえピタシート」系の貼る熱さましは本人が嫌がらなければおでこなどに貼りつけてもかまいません。けっこう精神的にも効果があるようです。
ただし、最近この手のシートで窒息事故が報告されていますので特に自分ではがす能力のない乳児への使用は控えましょう。
本格的に冷やすにはわきの下や首の周りを冷やすのが効果的です。

熱を下げる事のメリットとしては熱が下がると一時的ですが水分など取れるようになったりぐずって眠れなかった子どもが眠れるようになります。
発熱時家族のサポートとして重要なことは上述の通り脱水にならないように十分な水分補給をする事と十分な睡眠を取らせて体力回復の手助けをすることです。
これらの目的で必要な時に最小限の解熱剤を使う事は悪くないと考えます。
一般的には解熱剤(ねつさまし)は38.5℃以上で子どもがつらそうな時、ぐずる時、夜眠れない時、水分を取らない時などに使用します。
つまり、機嫌が良かったりぐっすりと眠っているならばたとえ高熱でも解熱剤を使う必要はありません。
解熱剤は一度使って次に使うまでには少なくとも6時間以上間隔を開ける必要があります。
また、一日に2回までが限度と考えてください。
ただ熱を下げたいという気持ちで使い続ければかえって病気が長引くという事を忘れてはいけません。インフルエンザなどでは強いある種の解熱剤を使うと合併症の脳炎、脳症の発生が増加することが判ってきました。
また、坐薬などの解熱剤は必ず本人のために処方されたものを使ってください。姉や兄の物をそのまま使うと量が多すぎたり薬の内容が合わないことがあり危険です。

いずれにしてもその熱がどんな原因で出ているのか判断するために必ず医師の診察を受ける必要があります。
ただし一度きりの発熱ですぐに解熱し、他に何の症状も無く本人も元気な場合にはそのまま様子を見てもかまわないでしょう。
夜中に急に発熱する事はよくあります。そんな時にも慌てずにこの記載を思い出して付随する症状が軽ければ翌日に小児科を受診するようにいたしましょう。
逆に高熱に加えて激しく吐いたり様子がおかしい時には救急外来へ連絡の上速やかに受診しましょう。

抗生物質について

ここで風邪に対する抗生物質の有効性について考えてみます。
今まで風邪をひいて病医院で薬をもらって治ってきた経験があるとその薬の中の「抗生物質」にのみ有効性を感じて(あるいは信じて)また風邪をひいたときに”魔法の薬”抗生物質をどうしても欲しがるお母さんがよく見られます。
風邪の多くはウイルス性の疾患です。ウイルスには抗生物質は効きません。
風邪のたびに抗生物質を飲んでいてはいずれからだの中で「耐性菌」が生じてきます。
近年、いままで効いていた薬が効かないようなばい菌(細菌)が増加してきました。
その原因のひとつは安易な抗生物質の投与と言われています。
当院の医師は必要な時以外抗生物質を処方いたしませんのでご理解ください。

発熱での外来受診時のポイント(受診時予めメモなどに書いて持参しましょう)

1)いつからの発熱か・その後の熱の経過は?(熱型表があるととてもわかりやすい)
2)熱の他の症状は?(咳、鼻水、下痢、嘔吐など)
3)何か薬を使ったか?(何時に何を)・どこか別の医者にかかったか?
4)水分摂取、食事の量は?
5)おしっこは出ているか?(最終排尿の時間、尿量が減ってないか)
6)熱性けいれんの既往はないか?
7)家族で他に同じような症状の人はいないか?
8)今、通っている所(保育園など)で流行している疾患があるか?